Project
愛媛のかんきつを世界へ!販路開拓に取り組み、生産者とともに農業の未来を切り拓く。

農林水産部 農政企画局 食ブランドマーケティング課
流通戦略グループ
技師大内 崇嗣
農林水産部 農政企画局 食ブランドマーケティング課
流通戦略グループ
担当係長新田 雅弥

愛媛県の顔ともいえるかんきつの輸出事業は、2009度からスタートし、2023年度はアジアや欧米の11か国・地域に広がりました。生産者から輸出先の小売店までをつなぐ包括的な支援を行う担当係長の新田さんと技師の大内さん。知識と経験を活かし、海外販路の拡大を通じて生産者の所得向上と持続可能な農業の実現を目指す二人の熱い想いに迫ります。

Interview
担当者インタビュー

新田さん
愛媛県産農林水産物の国内外でのPR、販路開拓が課全体としてのミッションです。中でも私たち流通戦略グループは、農林水産物の海外輸出に注力しています。その皮切りとして、愛媛県の顔であるかんきつの輸出に取り組んでいるところです。
まずは日本産品が好まれているアジア圏から始まり、近年は欧州へも販路を拡げています。台湾など緯度の低いアジア圏の国では甘いかんきつが好まれる傾向にありますが、ヨーロッパはゆずなど比較的酸味のある香り豊かなかんきつが人気なので、河内晩柑の輸出に取り組んでいます。
国内でのPRだと、最近は、愛媛県のオリジナル品種である「紅まどんな」と「紅かんぺい」を掛け合わせてできた新品種「紅プリンセス」のプロモーションも行っています。
それぞれ味はもちろん収穫時期が異なるのも特徴です。11月からは「紅まどんな」、1月からは「紅かんぺい」、そして3月からは「紅プリンセス」と切れ目なくつながって登場するため、これら県オリジナル3品種を「紅コレクション」と命名し、つながりを意識した一体的なプロモーションを展開しています。
大内さん
私は農業職ですので技術的な面でサポートさせてもらえたらということで動いています。
海外に農産物を輸出する場合、残留農薬の基準が日本より厳しい国が多いんです。そこで海外向けの防除体系などをJAさんや現場の指導員さんたちと相談しつつ、農薬の種類、散布時期などを相談し、海外基準の品質を保った上で輸出できるような支援をしています。
新田さん
輸出先国によっては、輸出用の園地登録が必要であったり、病害虫の調査をしないといけなかったり…。国によって検疫条件も異なります。輸出先国の基準を満たす園地として整備し、そこから輸出していくという流れです。
一方、販路開拓、流通に関わる業務としては、実際に現地を訪れてプロモーションを行ったり、相手国のバイヤーさんや小売店などと交渉したりしています。
新田さん
愛媛の顔であるかんきつのプロモーションを通して、ほかの県産品のPRにも繋げていけたらと考えています。実際に台湾へは、かんきつ以外にも産品を展開しているんですよ。
大内さん
現地の高級スーパーや百貨店などで毎年開催しているフェアがあるのですが、そこではかんきつに加えて愛媛の銘菓や加工品も出展しています。
丹原高校の生徒さんが育てているシャインマスカットがGGAP(グローバルギャップ)認証を取得しているので、2024年のフェアでは丹原高校のシャインマスカットと県産かんきつ、県産加工品などを出展しました。丹原高校の生徒さんや、県内企業の方にも渡航していただいたのですが、大盛況に終わり、皆さんとても喜んでくださいました。
新田さん
そういったフェアなどの取り組みは、県庁内の関係各所と連携しながら取り組んでいます。今回の丹原高校さんのように教育関係に協力をお願いしたり、フェアでは観光関係、産業関係の各課とタッグを組んだりということもあります。
大内さん
愛媛県のみかんは、他の地域のみかんに比べて外観品質、味も良く、自信を持っておすすめできます。
特に台湾においては「真穴みかん」といったブランド名も浸透してきているほどです。「産地の箱で欲しい」と言われるんです。日本語で書かれたブランドの箱に入っていることがお墨付きになると。
愛媛産=高品質という認識で重宝されていることを実感します。
2009年度から台湾輸出を続けてきて、ようやく愛媛ブランドが確立されてきたのかなと思っています。先輩方のこれまでの活動が実ってきていることに感慨深さもあります。
新田さん
ヨーロッパへは「misho(ミショー)」というブランドネームで河内晩柑の輸出に取り組んでいるのですが、現地の方に試食をしていただくと、ゆずとはまた違う味や香り、酸味があると好感触でした。
フランス人のトップシェフのフレデリック・ジョノー氏からも、「料理としての可能性を感じる。ゆずの先を見据えた商材になる」という声をいただいています。
新田さん
農産物が海を渡るには、国内取引と違っていろんなハードルがあります。当然言語の壁もありますが、それ以上に農薬の基準、病害虫調査など国内と比べるとクリアしなければならない課題が多く、生産者さんの負担も大きくなります。そこを県や市町、JAなど関係団体が一体となってサポートを行い、輸出に向けて一歩ずつ取り組んでいます。その結果、無事輸出ができたときはうれしいですね。
この事業の最終的なゴールは輸出することではなく、輸出によって生産者さんの所得向上に繋げることです。しっかり生産者さんに還元されるのが一番望ましいこと。その軸は今後もブレることなく、生産者さんに寄り添っていきたいと考えています。
大内さん
人口減などで国内市場が縮小している中、海外市場の開拓は非常に重要なミッションであると感じています。今後、人口増が予想される発展途上国など、可能性のある国をターゲットとして取り組んでいきたいですね。
新田さん
事務職の私ではわからない農業の知識について、農業職の大内くんがいるというのは大変助かりますね。まさに、一人ひとりが専門知識を生かせる職場です。
大内さん
私は逆に輸出に関わる法律関係のことや検疫の条件などの知識はまだ浅くて。加えて、輸出用の園地を整備する際にも決まりごとがたくさんあるのですが、そういった全般に新田係長は詳しいので、教えてもらうことも多いです。
新田さん
新田:やはり農林水産物の魅力、美味しさを海外の方へ伝えていきたいですね。海外の方へ受け入れてもらえるような取り組みを進めていけたらと考えています。
私は事務職で入って、15年目になりますが、いろんな部署、本庁から地方局まで7か所経験してきました。その間、本当に幅広い業務に携わってきました。ずっと同じ仕事ではないことの難しさはありますが、それこそ転職レベルでいろいろな経験ができるという点は、県庁で働く魅力の一つではないかと思います。
大内さん
私が県庁を選んだのは、農業職でも幅広いフィールドで経験を積めることに魅力を感じたからです。
農薬や病害虫の知識が必要な今の仕事では、大学時代に学んできた植物病理の知識を活かして生産者さんのために働けているので、やりがいを感じることも多いです。
学校や前職などで学んだこと、身につけたことを発揮したいという方には、県庁はやりがいに満ちた場所であると思います。

ありがとうございました。海をわたり、世界で愛される愛媛のかんきつ。県民として誇らしいです!

担当者プロフィール

担当係長新田 雅弥

(農林水産部 農政企画局 食ブランドマーケティング課
流通戦略グループ)

愛媛県新居浜市出身。2010年入庁。2010年度~経済労働部 産業支援局 産業創出課。2012年度〜南予地方局 愛南土木事務所。2015年度〜総務部 行財政推進局 財政課。2019年度〜経済労働部 観光交流局 観光物産課。2021年度~観光スポーツ文化部 観光交流局 観光国際課。2023年度〜企画振興部 政策企画局 広報広聴課。2024年度〜農林水産部 農政企画局 食ブランドマーケティング課。

技師大内 崇嗣

(農林水産部 農政企画局 食ブランドマーケティング課
流通戦略グループ)

愛媛県四国中央市出身。2014年度~県内医薬品卸売会社勤務。2021年入庁。2021年度〜中予地方局 農林水産振興部 農業振興課。2024年度〜農林水産部 農政企画局 食ブランドマーケティング課。

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